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症例1:腹部の色素斑(シーズー,9歳齢,♂) 肢端の皮膚病がみられ平成12年7月近医受診、シャンプーで改善なく脱毛も生じ同年11月転院。抗生物質で治療するも改善なく、平成13年2月17日当科紹介受診。腹部に小紅斑を伴う白色面皰(写真左)および黒色面皰(写真右)の集簇がみられた。また体幹背側には鱗屑、頭頸部や頬部には色素性脱毛などがみられた。 ![]() 臨床診断のポイント
面皰は毛包を栓塞する皮脂が小黒点をなした状態で、毛包性感染症(細菌性毛包炎、ニキビダニ症)、内分泌疾患(クッシング症候群、性ホルモン失調)、先天的要因(先天性魚鱗癬、面皰症候群、ざ瘡)などで生じます。ニキビダニ症の皮疹は多彩ですが、本症の特異疹としてダニ寄生に起因した毛包上皮性色素沈着による黒色面皰と面皰を中心とした毛包周囲血管拡張による小紅斑を認めます。
初診時検査のポイント
ニキビダニは常在寄生虫なので、ニキビダニ症に合致した皮疹を認めた後、皮膚掻爬検査や毛検査によりダニ寄生の評価を行います。より確実なダニの検出と皮膚応答の評価には皮膚生検が有用です。さらに皮膚機能に関与する基礎疾患の検討として、雌犬では膣スメア細胞診による卵巣機能、高齢犬では血液検査や内分泌検査などによる内臓疾患の評価が必要です。
参考文献: 獣医臨床皮膚科 8;111-112,2002. |